『海の中に青い空がいる』 | ||
「海はどこから、やってきたの」 少女が言った。 「きっと、あの青い空からだよ……台風が水をたくさん運んで来ていた」 少年が言った。 「その水は、空のどこにあるの」 少女 「きっと雲の中に、いっぱい水瓶(みずがめ)を隠しているんだ」 少年 「雲は雨いっぱいで、とても重いんだね」 「あんなに軽そうに、ゆったりと流れているのに」 少女が言った。 「……空は、どこから来たのだろう」 少年 「……」 少女 「ずっと昔の海から来たんだ……海は、空のように青いから」 自信なさそうに、少年が言った。 「青い色の素(もと)は、海と空と同じなの……」 真っ白い珊瑚(さんご)の浜の岩に、座っていた少女が、 突然、消えていなくなりました。 奄美(アマミ)の珊瑚(さんご)の海に、ひとりの人魚が、深くふかく潜(もぐ)って行きました。 「……空を探しに?」 少年は、ガジュマルの木の下に、 ガジュマルの木と枝で作った小屋から、出てきた爺(じじ)にたずねた。 「空の栖(すみか)を見つけるまで、どこまでも、 海の中を探し続けるかもしれない〜人魚になって」 爺(じじ)が言った 「人間から人魚に、なることできるの」 少年が言った。 「あの少女ならば、成れるかもしれない〜思いが、素直(すなお)だから」 今度は少年が、赤いくちばしのイソヒヨドリとなって、 ガジュマルの樹から、青い空に向かって、 思い切り! 海の栖(すみか)を探しに、飛び立って行きました。 奄美(あまみ)の珊瑚(さんご)の海の中 青い あおい空を ウミガメが飛んでいる |
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子供の広場 | |||||
『夜と光』 | |||||
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